主な性感染症科の診療について
性感染症内科の役割は、性行為を通じて感染する病気、STD(Sexually transmitted disease)と呼ばれています、の治療と予防指導です。パートナーとの同時治療が必要とされ、また感染初期には症状が出にくいものがあるため注意が必要です。
尿道の出口から膿がでてきて、排尿痛や尿道の不快感がある
尿道炎が疑われます。排尿痛や排尿時の不快感も伴います。
大きく分けて淋菌性のものとクラミジアによるものがあります。
1回の性交での感染率は約30%といわれています。
淋菌性尿道炎は淋菌による感染で、
黄色い膿がたくさんでます。
潜伏期間は数日で、短いです。
内服薬は耐性が進んでおり、効果がないとされており注射薬の点滴や筋肉注射となります。
クラミジア尿道炎はうすい透明の分泌物が出ますが
排尿痛も淋菌性のものより軽いです。
潜伏期間は約2週間で、こちらは耐性が進んでいないので内服治療で治ります。
また両者の混合感染が20%あります。
性器(亀頭や陰茎)に水ぶくれができて痛い
陰部ヘルペスが疑われます。
単純ヘルペスウイルスII型の感染で
通常痛みがあります。
発熱を伴うこともあり、
鼠径リンパ節が腫れるもともあります。
潜伏期は2-10日と短く自然に治癒もありますが
1度感染するとウイルスは、体の中に残るようになり、体調が悪いときなどに再発してきます。
内服薬と塗り薬で症状を軽く短くすることは可能ですが、完全にウイルスを除去することはできません。
性器にぶつぶつが出来ている
尖圭コンジローマが疑われます。
性交のとき皮膚や粘膜の微小な傷からヒトパピローマウイルスが侵入し、乳頭状のいぼが出来ます。好発部位は亀頭、陰茎の他肛門周囲などにもできます。
治療はイミキモドクリームを週3回塗って、
6-10時間後に石鹸で洗い流す、を繰り返します。
いぼが消えるのに平均4週はかかり、なくなってからも再発予防のため2-3週は塗布を続けることが必要とされています。
また大きいときは麻酔して切除や電気凝固や
凍結療法を行います。
潜伏期間は3週から数カ月と長いですので、
STDと気が付かれないこともあります。
性器にただれや硬いしこりがあり、足の付け根のリンパ節が腫れている あまり痛くない
梅毒の初期症状の可能性があります。
その後全身に赤い発疹が出る(バラ診)や
肛門周囲にできものが出来ることもあります。
診断は採血で行います。
TPHA法とSTS法を組み合わせて判断します。
感染後陽性になるには約1カ月かかります。
治療はペニシリンの内服や注射があります。
薬剤耐性はほぼなく治療は有効です。